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出水の海軍戦跡を歩く~九州新幹線が停車する駅・出水散策~

ここ一年くらいで、小説や映画が世に出た「永遠の0」は、太平洋戦争における海軍の特別攻撃作戦がテーマである。主人公が最後に出撃した基地は鹿屋であり、それだけに注目も高まっている。ただ、九州新幹線の停車する出水駅近くにも同じ海軍の飛行場があったことは意外と知られていない。そこで今回は出水に戦跡を訪ねて散策してみたい。

まず、昭和18年に教育航空隊のための出水に飛行場が設置された。さらに戦争が激化するに従い、昭和20年には教育目的に限らず、作戦部隊にも滑走路などが提供されるようになり、200人以上の隊員が特別攻撃隊として出撃していった。ここ出水基地は、当時を伝える戦跡の保存状態が良く、案内看板などもほどよく設置されている。

①戦闘指令指揮所地下壕

ここは出水海軍基地の代表的な戦跡といえる。地下壕入り口付近には、基地への出入りを監視していた哨門がある。この地下壕は、月曜日などを除き電気も点灯し安全に見学することができる。おそらくこうした状態の地下壕は、鹿児島県内では唯一といえるだろう。コンクリート製だが、相当砂や砂利が混入しており、物資の少ないなかでの建設であったことがしのばれる。

②雲の墓標の碑

地下壕の上部には、出水基地でも訓練を受けた経験をもつ作家の阿川弘之氏の文学碑が建立されている。昭和35年に建立されていて、大空を墓標とした隊員の気持ちを伝えている。

③特攻神社

隊員の慰霊のために建立された神社。戦時中には鹿島神宮の分社があり、現在周辺の地名が鹿島町となっているのは、そのことに由来する。社殿下には防空壕の痕跡もあり、ここが基地であったことが理解できる。

④地下発電所跡

少々ヤブのなかではあるが地下発電所の跡が残されている。独自の電力が必要であったことから設置された。外壁となるコンクリートは厚く、空襲にも耐えうるようになっている。

⑤気象観測所跡

飛行機を飛ばすために必要なものに気象観測がある。建物全部ではないが、その一部となるレンガ造りの建物が現在人家として利用されている。

⑥掩体壕跡

当時の滑走路は分かりにくくなっているが、飛行機の格納庫として利用されていた掩体壕は現存している。壕の屋根の部分は植物が豊かに茂っているが、これが戦後60年以上経たことを感じさせてくれる。

 

 

 

 

 


東川隆太郎 プロフィール

【職歴・略歴】

東川隆太郎NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会代表理事。「まち歩き」を活動の中心に据え、地域資源の情報発信や、県内及び九州各地での観光ボランティアガイドの育成・研修、まちづくりコーディネートなどに従事する、自他ともに認めるまち歩きのプロ。
主なテーマは、地域再発見やツーリズム、さらに商店街やムラの活性化など。講演活動、大学の非常勤講師などを通しての持論展開のほか、新たな地域資源の価値づけとして「世間遺産」を提唱するなど、地域の魅力を観光・教育・まちづくりに展開させる活動に従事している。1972年鹿児島市生まれ。鹿児島大学理学部地学科卒。

2014-12-01

カテゴリ:いっぺこっぺさるこうかごしま

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