適切な治療と予防は原因に応じた生活習慣の改善から-国保でHOT情報2012年9月号

●脂質異常の症状、予防法

特定健診では身長や体重、腹囲、血圧、尿検査等のほか、血液検査が実施されています。この血液検査で分かり、メタボリックシンドロームの診断基準の一つとして挙げられているのが「脂質異常」です。遺伝性の症状を除けば、日頃の生活習慣が深く関係していることが分かっています。そこで「国保でHOT情報」では、脂質異常の具体的な症状や、日頃の食事や運動など生活習慣の改善で可能な予防法等について、鹿児島大学大学院糖尿病・内分泌内科学の西尾善彦教授にお話を伺い、8月8日と15日の2週にわたってお伝えしました。

角膜やアキレス腱の症状に要注意

リポ蛋白の種類と構造体内の脂質とは、どのようなものでしょうか。

西尾教授

血液中に中性脂肪(トリグリセリド)とコレステロールが存在しています。脂質は血液中では水に溶けることができないので、溶けるためにアポ蛋白と結合し、「リポ蛋白」として存在しています。

それが病気になると、どうなりますか。

西尾教授

血液中の中性脂肪(トリグリセリド)は通常、血液中に150㎎/㎗まで、総コレステロールは120~220㎎/㎗存在しているのが正常です。ところが、脂質異常では中性脂肪がこの正常値を超えてしまったり、総コレステロールも下回ったり、上回ったりします。それを総称して「脂質異常症」と呼んでいます。リポ蛋白にはVLDLと呼ばれるアポ蛋白とトリグリセリドが結合したものと、LDLと呼ばれるコレステロールが含まれるもの、HDLと呼ばれるコレステロールが含まれるものがあります(図1)。特に動脈硬化ではLDLが悪い働きをするので悪玉コレステロール、HDLはいい働きをするので善玉コレステロールと呼ばれています。こういった粒子が血液中に存在しています。

脂質に異常があると、どのような症状がありますか。

西尾教授

基本的に症状はありません。しかし、場合によっては身体症状を示すことがあるので要注意です。例えば角膜に白いリング(の模様)が入るなど、それを私たちは「角膜輪」と呼んでいます。高齢者ではよく存在しますが、若い方でこの角膜輪がある場合は、コレステロールが高いことを疑わなくてはいけません。また、アキレス腱が分厚くなることがあり、通常5㎜程度の厚さが10㎜以上になることがあります。このようにコレステロールが高く、アキレス腱も分厚い場合、遺伝性であることが疑われるので要注意です。

適正値を知り、タイプに応じた治療と予防が大切

健診のデータの見方健診のデータはどのように見たらよいでしょうか。 

西尾教授

健診では中性脂肪(トリグリセリド)、総コレステロール、LDL(悪玉コレステロール)、HDL(善玉コレステロール)の値が記載されています。これらが図2の値に対して超えたり下回ったりすると、脂質異常症と診断されることになります。

治療方法はどのようなものですか。

西尾教授

脂質異常症にはリポ蛋白の異常が関わっています。その原因によって分類され、治療方法が異なります。原因に応じた投薬、生活習慣の改善を図ることが大切です。その判断は主治医に相談し、正しい治療法を選択してください。

では、どのような予防方法がありますか。

西尾教授

脂質異常症は中性脂肪や総コレステロール、悪玉コレステロールが多い方、また、善玉コレステロールが少ない方など、いくつかのタイプに分かれるので、それに応じた予防が必要です。

では、中性脂肪が高い方はどのようなことに気をつければよいですか。

西尾教授

基本的にカロリーの摂り過ぎが原因になっていることが多く、男性ではアルコール、女性では果物やおやつの食べ過ぎがあげられます。これらや食事の総カロリーを減らすことが最も大切ですが、それ以外にも運動でカロリーを消費することが必要です。

1週間に2時間程度の運動が効果的

「脂質異常の原因はいくつかに分類される。主治医に相談し、正しい投薬や生活習慣の改善が大切」と話す西尾教授と藏薗千尋レポーター

「脂質異常の原因はいくつかに分類される。主治医に相談し、正しい投薬や生活習慣の改善が大切」と話す西尾教授と藏薗千尋レポーター

運動療法には、具体的にどのようなものがありますか。 

西尾教授

体を動かすものなら何でもいいと思います。基本的には1週間に2時間程度の運動がよいとされています。具体的には、散歩、速歩、水泳、ジョギング、サイクリング、女性なら家事でもいいと思います。

コレステロールに異常がある方はどのようなことに気をつければよいですか。

西尾教授

一般的に、生まれもった体質で高い方も多いようです。コレステロールを取り過ぎると、さらに上がってしまいますから食事に注意が必要です。また、牛や豚、鶏肉などに多く含まれる飽和脂肪酸を取り過ぎると、コレステロールの吸収が高くなることも知られています。

コレステロールが多く含まれる食品には、どのようなものがありますか。

西尾教授

主に卵黄、魚の卵、動物の肉、肝臓などに多く含まれます。これらは体にとって大切なものですが、摂り過ぎはよくないと考えられます。一方、コレステロールが高い体質の方は、食事療法をがんばっても、なかなか改善されないことも多く、その場合、適切な薬物療法が大切です。主治医にお尋ねになるとよいでしょう。

では、善玉コレステロールを増やすにはどうしたらよいですか。 

西尾教授

薬物治療で増やすことはできませんが、生活習慣の改善で増やすことが可能です。運動や禁煙、中性脂肪を減らすことがあげられます。また、ごく少量のアルコール摂取も有効であることが知られています。

2012-12-05
カテゴリー: 国保でHOT情報 

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