かかりつけ薬局とジェネリック医薬品 -国保でHOT情報2015年9月号-
国保でHOT情報では、薬に関して気軽に相談できる「かかりつけ薬局」と、医療費適正化に効果があるとして注目されている「ジェネリック医薬品(AG医薬品を含む)」の特徴やメリットについて、公益社団法人鹿児島県薬剤師会の常務理事で、パール薬局の東郷和彦先生にお話を伺い、8月5日にお伝えしました。
健康被害を未然に防ぐ
最近よく耳にする、かかりつけ薬局について教えてください。
東郷先生
かかりつけ薬局とは、薬の重複や飲み残しをなくすため、いつも行く薬局をもっていただくことです。
お薬に関する助言や、健康・衛生面に関する相談を幅広く受け付けて、専門の職種や機関につなぐなど、健康サポート機能を併せ持ったご自分にあう「かかりつけ薬局」を持っていただくよう勧めています。
または、気軽に相談しやすい、お薬の説明をしっかりとしてくれるなど、ご自分に合った「かかりつけ薬剤師」を持たれることでも構いません。
自分の「かかりつけ薬局」を持つメリットは?
東郷先生
患者さんの記録から、複数の医療機関を受診している場合や一般用医薬品、健康補助食品との飲み合わせにおける健康被害を未然に防ぐことができます。
また、日常生活における健康や衛生面に関して相談することで、より質の高い生活へとつながっていきます。
効き目は変わらずに低価格
薬局で「ジェネリック医薬品に変更しますか?」と聞かれますが、ジェネリック医薬品の事について教えてください。
東郷先生
先に発売された先発医薬品には特許期間が設けられていて、特許期間が切れたら同じ有効成分を同じ量含んで、効き目が同等な医薬品が市場に出てきます。
その医薬品の事をジェネリック医薬品と呼んでいます。
ジェネリック医薬品に変更するメリットは?
東郷先生
開発費用が抑えられている分、低価格となっていますので、医療保険の支払い額も抑えられますし、保険料や税金の負担を減らすことにもつながります。
変更することで、薬の名前や形、色などが変わることがあるため、患者さんによっては不安を持たれる方もいます。
ジェネリック医薬品の変更に不安を持たれる方には、どのように対応されるのですか?
東郷先生
従来の先発医薬品で対応するか、又はオーソライズドジェネリック(AG)医薬品について重ねて説明します。
オーソライズドジェネリック(AG)医薬品とは、聞き慣れない言葉ですがどのようなものですか?
東郷先生
先発医薬品メーカーと特許の使用権の契約をしたジェネリック医薬品メーカーが、全く同じ医薬品を発売することがあります。
それをオーソライズドジェネリック(AG)医薬品と呼んでおり、オーソライズドジェネリック(AG)医薬品で対応できるケースでは、重ねて説明することで安心されて変更される方がいらっしゃいます。
ジェネリック医薬品やオーソライズドジェネリック(AG)医薬品を使用したい時にはどうすればいいですか?
東郷先生
受付時にお伝えになるか、「お薬手帳」と一緒にジェネリック医薬品希望カードやシールを提示するか、または、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。
オーソライズドジェネリック(AG)医薬品については、品目によっては存在しないので「かかりつけの薬局、薬剤師」に確認されると良いです。
安心して飲んでいただくために
お薬手帳の提示を求められますが、その役割について教えてください。
東郷先生
副作用の履歴やアレルギー歴、他のお薬との飲み合わせなどによる健康被害を防ぐことが出来ますし、緊急時や災害時にも活用できるように作られています。
他にも、体調変化、検査結果などが記録されていると、薬と関連つけて見ることができるので、副作用の早期発見につながることにもなります。
それ以外にも、自宅に余っているお薬を記録すると良いですね。
自宅に余っているお薬は、いつもらったか、何の薬か分からなかったりして困ることがありますよね。
東郷先生
鹿児島県薬剤師会では、自宅に余っている薬を整理する事業に取り組んでいます。
薬局に「おくすり整理そうだんバッグ」を置いていますので、それに入れて持ってきていただくか、そのまま持ち込んでもらっても構いません。
薬局、薬剤師が整理して、使える薬は本人に限り再利用し、それ以外の薬はお返しするか薬局にて処分することもできます。
余っている薬を整理することのメリットは?
東郷先生
医療費が国の財政を圧迫している中、余っているお薬を整理することや、ジェネリック医薬品でのお薬代の削減によって、この医療保険制度を次の世代に引き継ぐことへとつながります。今後とも皆様のご理解とご協力をお願い致します。