ジェネリック医薬品とかかりつけ薬局 -国保でHOT情報2016年9月号-
国保でHOT情報では、医療費の適正化に効果があるとして国も積極的に使用促進に取り組んでいる「ジェネリック医薬品」の特徴やメリット、また薬に関して気軽に相談できる「かかりつけ薬局」について、公益社団法人鹿児島県薬剤師会の常務理事で、とも調剤薬局の川畑信浩先生にお話を伺い、8月3日と8月10日の2週にわたってお伝えしました。
低価格で確かな品質のジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品とは?
川畑先生
先に発売された医薬品には、有効成分の特許期間が設けられていて、その特許期間が切れたら、同じ有効成分を同じ量含んで、効き目が同等な医薬品が発売されます。その医薬品の事を、ジェネリック医薬品、後発医薬品と呼んでいます。
「ジュネリック医薬品について、気軽に薬剤師にご相談ください」と話す川畑信浩常務理事 |
ジェネリック医薬品に変更するメリットは?
川畑先生
開発にかかる期間が、新薬は15~20年、ジェネリック医薬品は3~5年なので、期間が短い分、低価格となっています。今後、高齢化の進展に伴って、医療費は増え続けると予想されています。そこで、少しでも医療費の増加を抑えるため、ジェネリック医薬品の活用が注目されています。
価格が安いとのことですが、効き目や品質などは先に発売された医薬品と変わらないのですか?
川畑先生
ジェネリック医薬品の有効成分は、新薬の特許期間中に効き目や安全性が十分に確認されています。また、国の基準に沿って製造されますので、確かな品質が守られています。
医薬品の変更に不安を持たれる方には、どのように対応されますか?
川畑先生
従来の先発医薬品で対応するか、又はオーソライズドジェネリック医薬品について重ねて説明します。
オーソライズドジェネリック医薬品とはどのようなものですか?
川畑先生
先発医薬品と全く同じ成分のジェネリック医薬品です。オーソライズドジェネリック医薬品は、先発メーカーがジェネリックメーカーに特許を与えて開発しており、添加物、製造方法まで全て同じです。
ジェネリック医薬品に変更するにはどうすればいいですか?
川畑先生
薬局で処方箋を出される際に、ジェネリック医薬品を希望されるか、薬剤師が確認します。かかりつけの薬局があれば、ジェネリック医薬品についても相談しやすいと思います。またお薬手帳と一緒にジェネリック医薬品希望カードやシールを提示するのもいいと思います。国は、国民医療費の増加を抑えるため、ジェネリック医薬品の使用を促進する目標を掲げています。先発医薬品から後発医薬品に変更したきっかけの約7割が、薬剤師からの説明という調査結果があります。ジェネリック医薬品について、気軽に薬剤師にご相談ください。
自分の記録が薬局にあるから治療の助けになり安心
かかりつけ薬局とは?
川畑先生
病気の診療や相談などを、身近な「かかりつけのお医者さん」で行うと安心であるように、薬や健康食品などについても使い方や疑問に答え、相談相手になってもらえる身近な薬局のことです。かかりつけの薬剤師でも構いません。
自分の「かかりつけ薬局」を持つメリットは?
川畑先生
処方箋をどの医療機関でもらった場合でも「かかりつけ薬局」に持っていき、薬を作ってもらうと、今までどんな薬をどの病院でもらったか、体に合わない薬やアレルギーの記録などが残っているので、薬の飲み合わせを確認してくれます。処方箋の内容に疑問があれば処方箋を出した医師に問い合わせますし、必要に応じて適切なアドバイスをしてくれます。
病院や薬局で「お薬手帳をお持ちですか?」と聞かれますが?
川畑先生
今までご自分が使った薬を記録できる手帳です。副作用歴、アレルギーの有無、過去にかかった病気、体調の変化などについても記入できます。医療機関・薬局でいろいろな情報がすぐにわかり治療の助けになります。緊急時や災害時にも活用できるように作られていますので外出の際は携帯することをお勧めします。最近はスマートフォンをお持ちの方が利用できる電子お薬手帳もあります。
電子お薬手帳とは?
川畑先生
紙のお薬手帳の情報をスマートフォンで管理するアプリケーションです。カレンダーとアラームで薬を飲む時間を管理したり、ご家族のお薬の情報も1台のスマートフォンで管理できるのでお子さんをお持ちの方など便利ではないでしょうか。平成28年4月から、紙のお薬手帳と同様に薬局で使用できるようになりました。
薬局で「残っている薬はありませんか?」と聞かれることがあるのですが?
川畑先生
患者さんの中には「薬が多くて飲めない」「飲みづらい」などの理由から薬が残ってしまうことが分かっています。また、病院の薬と一緒に市販の薬やサプリメントを併せて使っている場合もあります。多くの薬を使っていると、飲み合わせが悪かったり似たような効能の薬を使ってしまったりして健康被害につながる恐れもあります。薬剤師は患者さんの残薬を確認し、使っているすべての薬やサプリメントなどの情報を整理して必要であれば、医師にお薬を減らしてもらったり、変更してもらったりする提案を行います。
鹿児島県薬剤師会では、自宅に余ったお薬や処分に困っているお薬を整理する事業に取り組んでいます。薬局に「おくすり整理そうだんバッグ」を置いていますので、それに入れて持ってきていただくか、そのまま持ってきていただいても構いません。薬剤師が整理して、使える薬は本人に限り再利用し、それ以外のお薬はお返しするか薬局にて処分することもできます。最近のデータでは鹿児島県薬剤師会会員薬局1軒あたり平均1万円程度の残薬が持ち込まれています。これは1週間の集計ですので年間では相当の金額になります。
自宅に余っているお薬は、いつもらったか、何の薬かわからなかったりして困ることがありますよね。
川畑先生
お薬についてわからないこと、その他健康相談など気軽に相談できる「かかりつけ薬局」を持っていただき、ご活用ください。