大切なのはサインを見逃さない周囲の気づきー 国保でHOT情報2014年3月号
平成24年の人口動態統計では364人の方が鹿児島県で自殺により亡くなっており、その中で中高年の割合が全体の半数以上を占めているという。そこで、国保でHOT情報では、心の健康・うつ予防について、鹿児島県保健福祉部障害福祉課の宮脇豊主事にお話しを伺い、2月19日にお伝えしました。
全国平均よりも高い鹿児島県の自殺死亡率の現状
うつ予防といえば、自殺予防の一環として伺っていますが、現在の鹿児島県の自殺者の状況を教えてください。
宮脇主事
平成24年の人口動態統計によると、鹿児島県では364人の方が自殺によって亡くなられています。
これは交通事故による死亡者数の約4倍の数です。
自殺者は、平成18年の507人をピークにこれまで減少傾向にありますが、依然として350人以上の方が亡くなられている厳しい状況にあります。
男女差はあるのでしょうか。
宮脇主事
364人のうち、男性が265人、女性が99人と、全国と同様に男性の自殺者数が多い傾向にあります。
年代別でみたときに、何か鹿児島県の特徴はあるのでしょうか。
宮脇主事
50代の方が78人と最も多く、次いで60代が65人、70代が59人と、中高年の自殺者が全体の半数以上を占めています。
鹿児島県の自殺者は他県と比べて多いのでしょうか。
宮脇主事
平成24年の鹿児島県の自殺死亡率は21.6で、全国で19番目となっています。全国平均が21.0ですので、全国平均より高い数値となっています。
関係機関と連携し自殺予防の対策に努める
自殺の原因を教えてください。
宮脇主事
自殺の原因は複雑で、その背景にはこころや体の健康問題、経済・生活問題、家庭問題のほか、人生観・価値観や地域・職場環境などさまざまな社会的要因が複雑に関係していることも明らかになってきました。
なかでも、うつなどの精神的な健康問題を抱える方が多く、うつ対策の取り組みが重要な課題となっています。
自殺に追い込まれた方には、何か特徴があるのでしょうか。
宮脇主事
厚生労働省では自殺のサインとして、自殺予防10箇条を示しています。詳細は、厚生労働省や県のホームページにも掲載しておりますが、例えば、「表情が暗く元気がなくなる」、「体調不良の訴えが多くなる」、「お酒の量が多くなる」などがあります。
自殺を考えている人は何らかのサインを発していることが多いので、いつもと違うという周囲の気づきが大切です。
県ではどのような対策を実施しているのでしょうか。
宮脇主事
県では、うつ病などの症状が見受けられる患者さんが、かかりつけ医の先生から精神科の先生につながるネットワークの構築、こころや身体の健康問題や経済・生活問題などで悩みを抱える方が利用できる相談窓口の設置など、自殺を予防する様々な対策を医療、福祉、警察などの関係機関と連携を図りながら行っています。
自殺者の減少に向けた取り組み
ところで、3月は「自殺対策強化月間」となっていますが、始まったきっかけについて教えてください。
宮脇主事
平成22年2月に国の自殺総合対策会で決定した「いのちを守る自殺対策緊急プラン」のなかで、例年自殺者数の最も多い3月を「自殺対策強化月間」に定め、全国でスタートしました。
ところで、3月は「自殺対策強化月間」となっていますが、始まったきっかけについて教えてください。
宮脇主事
自殺に追い込まれる方のなかには、「うつ病や多重債務等は不名誉で恥ずかしいもの」という意識から誰かに相談することや精神科の受診に心理的な抵抗を感じる人も少なくありません。
そのため、自殺対策強化月間では、自殺予防について正しい知識の普及を図り、自殺に追い込まれるという危機は誰にでも起こる可能性があるので、その場合に適切に援助を求めることが大切という認識を深めてもらうことが目的です。
県では自殺対策強化月間にどのような取り組みを行うのでしょうか。
宮脇主事
県では、自殺対策強化月間である3月に普及啓発事業として、自殺予防対策CMの放送や講演会の開催を予定しています。
どのような効果を期待しているのでしょうか。
宮脇主事
CMや講演会を、県民の皆様が自殺予防について考えるひとつのきっかけにしていただき、自殺予防についての正しい知識の普及や自殺のサインへの気づきを促すことで、自殺者の減少の効果を期待しています。
※宮脇主事の脇は、旧字体となりますが、