健康のための食事・運動・休養-国保でHOT情報2016年11月号-
健康に過ごすためには、身体活動や食事、休養などの生活習慣を見直し、必要に応じて改善することが重要です。鹿児島県国保連合会では、10月を健康増進月間と定め、健康のための食事・運動・休養について、鹿児島県栄養士会の油田幸子理事、柳田豊健康運動指導士、鹿児島県民総合保健センターの桶谷薫副所長にお話を伺い、10月12日と10月19日、10月26日の3週にわたってお伝えしました。
“食”は健康の原点
テーマは「食」と言うことですが
油田理事
「食べる」ということは、口から栄養素を自分の体に入れてあげることです。その栄養にもいろいろな性格(働き)があり、これだけを摂っていれば大丈夫と言う栄養素はありません。代表的な栄養素は、図1の五大栄養素です。その中でも上段の栄養素は三大栄養素と呼ばれ、エネルギーを持っている栄養素です。脳の栄養として必須の炭水化物。貯蔵に最適な脂質。筋肉の構成成分として重要なたんぱく質。この三つに、エネルギーはないけれども、代謝や生理機能を維持するビタミン。それぞれ独特な働きを持つミネラルを加えたものが五大栄養素です。 こうした特徴を考えながら、上手に組み合わせて自分に必要な量や質をとる工夫が「食選力」です。
上手に組み合わせるとは
油田理事
上手な組み合わせを考える一番便利な方法がランチプレート・和食メニューです。ご家庭では、主食・主菜・副菜など1汁3菜程度の和食のお膳に盛りつけたスタイルを想像していただければよいと思います。
これからどのようなことに気を付ければいいでしょうか。
油田理事
鹿児島県が健康増進のためにいち早く出した脳卒中警報を解除するためにも、糖尿病からの透析を予防するためにも、食塩の摂取量を減らし動脈硬化予防に努めることです。鹿児島のお料理は〝甘辛い〟と言われます。鹿児島は「食材の宝庫」、新鮮な食材は、調味料を必要としないと言われます。鹿児島に生きることの幸せは〝食の豊かさ〟にあると思います。
10をキーワードに身体を動かす
健康づくりのための運動は何が?
柳田運動指導士
さまざまな運動種目がありますが、メタボやロコモの予防・改善を念頭に置いた場合、さまざまな要素の運動種目を実施した方が良いと考えます。しかしながら今から健康づくりを始める方や運動が苦手な方などはまず、「プラス10」を意識すると良いでしょう。
プラス10 とは
柳田運動指導士
どのような内容 のものでもいいので10というキーワードで今までの生活にプラスする考え方です。例えば犬の散歩、庭先での作業や掃除などを10分長くするとか、階段の昇降やスクワットを10回するとか、運動に限らずに身体を動かす動作(身体活動動作)を少し増やしていくようにします。それから本格的に運動を取り入れると良いでしょう。種目は手軽に取り組めるウォーキングが良いでしょう。
健康的に脂肪を落とすためには
柳田運動指導士
ウォーキングだけを実施するよりもウォーキングの前に筋力トレーニングを実施してから行った方が、脂肪燃焼効果が高いとされています。そこで筋力トレーニングと有酸素系運動を複合的に実施して太りにくい、リバンドしにくい体を作り、効率的に脂肪を落としましょう。また、運動実施後はしっかりストレッチを行い、筋肉を柔軟に保ちましょう。
規則正しく十分に睡眠を
健康のための休養とは
桶谷副所長
休養の中でも睡眠についてなんですが、メンタルヘルス不調やうつ病の約8~9割に不眠症状があることから、睡眠による休養を十分にとることは重要なんです。図2をご覧ください。これは厚生労働省が作成した睡眠12か条です。
適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリをとありますが。
桶谷副所長
1日30分以上の歩行を週5日以上実施している人では、入眠困難、中途覚醒を自覚する割合が低いというデータがあります。良い睡眠のためには定期的な運動習慣が大切になってきます。日常生活の中で、少しずつ運動を取り入れていきましょう。
また、朝食を食べないことが多い人は、睡眠―覚醒リズムが不規則という結果がでています。朝食をしっかり摂ることで、こころとからだを目覚めさせ、元気に一日をはじめることが大切です。
成人の睡眠時間は、どのくらいで十分でしょうか。
桶谷副所長
平均6~8時間ですが、個人差が大きく、日中スッキリと過ごせているなら心配ありません。
眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談をとありますが。
桶谷副所長
2週間以上「寝つけない」「熟睡感がない」「十分に眠っても日中の眠気が強い」などが続く場合は早めに専門家に相談をすることをお勧めいたします。