危険な重複服薬 お薬手帳やかかりつけ薬剤師・薬局の活用を ※重複服薬 -国保でHOT情報2019年5月号-
自分が飲むお薬、きちんと把握・管理できていますか?同じ働きをするお薬を併せて飲むと危険な場合もあるんです。危険性や予防方法等「重複服薬」について、鹿児島県薬剤師会常務理事 鹿児島厚生連病院薬剤科長の佐多照正先生にお話を伺い、5月11日にお伝えしました。
重複服薬とは
重複服薬とはどのようなもので、どうしておこるのでしょうか。
「認定証を掲示する薬局に相談を」と話す鹿児島県薬剤師会常務 鹿児島厚生連病院薬剤科長の佐多照正先生 |
佐多先生
一人の患者さんが、同じ時期に複数の医療機関で診察を受けている場合、同じような働きのお薬がそれぞれの医療機関で出されることを「重複服薬」と言います。
違う名前であっても、実は同じお薬だったり、同じような働きをするお薬もあり、一緒に飲んではいけないこともあります。
これは、医師や薬剤師がほかの医療機関で出されたり、薬局などで購入して、現在飲んでいるお薬の内容を知らされていないために起こります。
重複服薬の防止にはお薬手帳の提示が重要
図1 |
もし患者さんが重複して飲んだらどうなるのでしょうか。
佐多先生
重複して飲むと、お薬同士の働きが強く出たり、副作用が強く出る可能性があり、非常に危険です。
重複服薬を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。
佐多先生
普段から自分の飲んでいるお薬をよく知っておくことが重要です。
また、複数の医療機関にかかっている場合、医師や薬剤師に現在飲んでいるお薬を知ってもらうために、お薬手帳を提示することも重要です。(図1)
できましたら、1箇所の薬局で、飲むお薬のすべてを一元的・継続的に管理してもらうことで、重複服薬の予防にもつながります。その役割を担うのが、かかりつけ薬剤師・薬局です。
かかりつけ薬剤師・薬局の役割
図2 |
かかりつけ薬剤師・薬局を持つと他にも何かいいことがありますか。
佐多先生
普段から飲んでいるお薬による症状の変化を確認したり、お薬や健康に関する相談に乗ったりしています。(図2)
飲まずに残ったお薬を、医師と連携して整理したり、自宅を訪問して、お薬を正しく飲んでもらうよう支援もしております。(図3)
図3
鹿児島県薬剤師会では本年4月に認定かかりつけ薬局を77軒認定しましたので、こちらを掲示する薬局にご相談ください。 (図4)
図4 お薬の整理や管理、正しく服薬するための支援を行う「認定かかりつけ薬局」のステッカー
県薬剤師会の取り組み「国保ヘルスアップ支援事業」
かかりつけ薬剤師・薬局は薬についての説明だけでなく、症状の変化を確認したりお薬や健康に関する相談に乗ってくれる |
重複服薬について薬剤師会が取り組んでいることを教えてください。
佐多先生
重複服薬は患者さんの健康に影響するだけでなく、医療費の無駄にもつながります。現在、薬剤師会では、鹿児島県と協力して「国保ヘルスアップ支援事業」に取り組んでいます。
患者さんの適正な受診や服薬を促進するために、効率的・効果的な支援を行う人材を育成することが必要です。薬剤師会としては研修や地域薬剤師との連携作り、かかりつけ薬剤師・薬局によるお薬の管理を通じて、重複服薬がなくなるように努めていきたいと思います。