慢性腎臓病(CKD)早期発見・早期治療を! ※慢性腎臓病(CKD)について -国保でHOT情報2020年3月号-
現代社会において、新たな国民病と呼ばれる慢性腎臓病(CKD)の患者数が毎年増加しています。CKDの原因やその予防法はどういったものなのか。重症化を防ぐためにも今知っておくべき「慢性腎臓病(CKD)について、鹿児島市立病院 腎臓内科 野﨑剛先生にお話を伺い、2月8日にお伝えしました。
成人の8人に1人が該当するCKD
今日は慢性腎臓病、CKDについて、ということなんですが、これはどのような病気なんでしょうか?
野﨑先生
腎臓の病気です。検尿検査で尿蛋白が出る状態、もしくはeGFRという指標で表される腎機能が60という数値を切った状態が持続することを慢性腎臓病、CKDといいます。
CKDは透析療法を受けるような腎不全に至る危険性が高いだけでなく、心臓や脳血管疾患などの危険性も高くなることがわかっています。
成人の8人に1人、1300万人以上がCKDに該当すると考えられています。
そんなに多いんですね。ところでeGFRって何でしょうか?
野﨑先生
血清クレアチニンという、採血でわかる数値と、年齢、性別から計算した腎機能の推定値です。
たとえば、その数値が50だったら、若いときの50%程度の腎機能だと考えて頂ければわかりやすいです。
生活習慣病を原因とするCKD
CKDにはどんな原因があるのでしょうか?
野﨑先生
多いのは高血圧や糖尿病などの生活習慣病によるものです。
腎臓は小さな血管でできているので、血管を傷つける高血圧や糖尿病による障害を受けやすいのです。
また、免疫の異常からおこる腎炎も重要です。
透析導入まで至るものとして多いのは、糖尿病性腎症が一番多く、2番目に慢性糸球体腎炎、3番目に高血圧からの腎硬化症の順となっています。
治療と予防について
ではCKDになってしまった場合、治療はどうしたらよいでしょうか?
野﨑先生
高血圧や糖尿病などによるものは、その病気の治療を行うことにより、進行を遅らせることができます。
腎炎は早期なら治療で完治させることもできます。
いずれにしても進行してからでは治療が難しくなるので、早めに治療を始めることが重要です。
予防するにはどうしたらよいでしょうか?
発症予防・重症化予防には生活習慣の改善と特定健診の受診による早期発見が大切と話す野﨑剛先生 |
野﨑先生
CKDには危険因子があります。
高血圧や糖尿病、メタボリックシンドローム、悪玉コレステロール高値などの脂質異常、喫煙、痛み止めや造影剤等の薬剤などです。
まずは生活習慣を改善されてください。
また、CKDは末期になるまで症状が出ないので、特定健診などの健診を受けて、早期にCKDを発見することも重要です。