感染症予防と熱中症予防 -国保でHOT情報2016年5月号-
国保でHOT情報では、蚊に刺されることで感染する感染症の予防について、鹿児島県保健福祉部健康増進課の濵田まどか技術主査に、また熱中症予防について、同課の前門達哉主事にお話を伺い、5月4日と11日の2週にわたってお伝えしました。
デング熱とジカウイルス感染症
蚊に刺されることによって感染する感染症は、どういうものがありますか。
濵田技術主査
デング熱やジカウイルス感染症などがあります。
「蚊に刺されないよう注意しましょう」と話す濵田技術主査 |
デング熱とは、どのような病気ですか。
濵田技術主査
デングウイルスを持った蚊に刺されることによって感染し、発熱、頭痛、筋肉痛や皮膚の発疹などの症状があらわれます。 東南アジア、南アジア、中南米で患者の報告が多くあります。
ジカウイルス感染症とは、どのような病気ですか。
濵田技術主査
ジカウイルスを持った蚊に刺されることによって感染し、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛や関節痛などの症状があらわれます。 妊婦が感染すると胎児に感染し、小頭症などを起こす可能性があるとされています。 中南米及びその周辺地域で流行しています。
デング熱とジカウイルス感染症は、日本国内での発生はありますか。
濵田技術主査
デング熱は、平成26年8月に東京都立代々木公園に関連する患者の発生が報告されていますが、それ以外では、海外で感染した方の報告が、毎年200名前後あります。 ジカウイルス感染症は、日本国内で感染した方はいません。海外で感染した方が2013年以降、8名います。
長袖、長ズボンを着用し、虫除けスプレーの利用も
流行地域へ渡航する場合は、どのように予防すればよいですか。
濵田技術主査
長袖、長ズボンなどを着用し、虫除けスプレーなども利用し、蚊に刺されないように注意しましょう。 また、流行地域で蚊に刺され、心配な場合は、帰国された際に、検疫所や保健所にご相談ください。 なお、発熱などの症状がある場合には、医療機関を受診してください。
昨年5月に熱中症で33人が緊急搬送
暑さを感じる日が増えてきましたが、この時期から熱中症に注意が必要なのでしょうか?
前門主事
はい。この時期は身体が暑さに慣れていないので、上手に汗をかくことができません。そのため体温調節がうまくできないので、暑さが本格化する前から注意が必要です。鹿児島県では昨年5月に33人、6月に54人が熱中症によって緊急搬送されました。
「熱中症は正しい予防法を知り、普段から気をつけましょう」と話す前門主事 |
熱中症とは具体的にどういったものなのでしょうか?
前門主事
熱中症とは、暑い環境によって体内の水分塩分バランスが崩れることや体温調節ができなくなって起こる身体の不調のことです。(図1) 主な症状は、めまいや立ちくらみ、だるさ、頭痛、吐き気などですが、重症になると意識を失うこともあります。
部屋の換気や適度な冷房で湿度にも気をつける
熱中症を防ぐ方法はありますか?
前門主事
基本的な対策としては暑さを避けることとこまめな水分補給ですが、この時期はウォーキングなどの軽い運動で汗をかきやすい体づくりをすることも大切です。(図2)
他にも気をつけたほうがいい事はありますか?
前門主事
気温だけでなく湿度にも気をつけていただきたいです。湿度が高くなると体の熱を外に出しにくくなるので、熱中症になる危険性が高まります。部屋の換気をする、冷房を適度に使い、無理をしないことも必要です。(図3)
今の時期から意識することが大切なのですね。
前門主事
そうですね。熱中症は正しい予防法を知り、普段から気をつけることで防ぐことができます。まだあまり暑くないからと油断せずに、しっかり予防しましょう。