枕崎のまちなかに「枕崎らしさ」を求めて
かつお節、焼酎、お茶、金、黒豚とさまざまな鹿児島を代表する特産品で知られる枕崎。薩摩半島の南端のまちには不思議や魅力がたくさん詰まっている。その集積地は、ひともモノも情報も集まるまちなかといえるだろう。今回は、そんなまちなかをご紹介したい。
① 枕崎駅
昭和6年に南薩鉄道の枕崎駅として誕生。昭和38年に国鉄の指宿・枕崎線が開業すると、さらに活況を呈した。現在も駅舎は三代目で、平成25年に新しくオープン。この駅舎には枕崎出身の大相撲36代立行司・木村庄之助氏による駅看板、山幸彦の立像、さらに駅のどこかにハートの石があるなど、見どころがいっぱい。また駅前観光案内所では、本土最南端の始発・終着駅に来たことの証明書の発行も受けられる(有料)。
②枕崎神社
市街地を見下ろす片平山公園にある。慶長10(1605)年に四元六兵衛が海岸近くに創建したのが始まりとされている。また明治5(1872)年までは大将軍宮と呼ばれていたという。場所が高台だけに、幾度かの台風被害に遭うも再建されて現在に至る。
③住宅街に林立するかつお節工場
泊如竹は、豊富な学識を地域に活用している。そのひとつが集落に安定した水を供給した堀である。背後の丘陵地域から豊かな水を集落へと供給するために堀の存在は不可欠であった。素朴なかたちではあるが、一部ではあるが当時をしのばせてくれる状況で現存している。
④新町の石切場
安房集落を一望できる見晴らしのいい場所には、粟穂神社がある。この神社は、ヒコホホデノミコトなどを祭る。現在では安房という地名だが、元々は神社名である「粟穂」と呼ばれていた。隣接の法華宗本仏寺は、織田信長が討たれた京都の本能寺とつながりがある由緒あるお寺である。
⑤西郷隆盛宿泊の家跡
御祭神は不明だが、地域では火の神様として大切にされて来ている。現在でも地域の火災見回りでは、この神社前が出発場所になっているという。元々は背後の小高い丘陵が安房城と呼ばれる山城であったが、その場所にあったものという。
⑥折口市場
里町には亀女なる人物が機織りをしたという大石が安房川の岸にある。おそらく石はカコウ岩であり、川の上流から運ばれてきたものと推測される。ただ、この石の上での機織りは少し不自由そうだ。
東川隆太郎 プロフィール
【職歴・略歴】
NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会代表理事。「まち歩き」を活動の中心に据え、地域資源の情報発信や、県内及び九州各地での観光ボランティアガイドの育成・研修、まちづくりコーディネートなどに従事する、自他ともに認めるまち歩きのプロ。
主なテーマは、地域再発見やツーリズム、さらに商店街やムラの活性化など。講演活動、大学の非常勤講師などを通しての持論展開のほか、新たな地域資源の価値づけとして「世間遺産」を提唱するなど、地域の魅力を観光・教育・まちづくりに展開させる活動に従事している。1972年鹿児島市生まれ。鹿児島大学理学部地学科卒。