COPDの治療はまず禁煙から-国保でHOT情報2013年11月号
長年の喫煙が原因と言われているCOPD。喫煙者の15%~20%が罹患するといわれており、病気の症状が分かりにくく本人が気付かないことも多いようです。そこで、国保でHOT情報では、COPDについて、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学の井上博雅教授にお話を伺い、9月25日にお伝えしました。
最大の原因は長年の喫煙
COPDの原因は長年の喫煙と話す、井上博雅教授(右)と藏薗千尋リポーター |
COPDとはどのような病気なのでしょうか。
井上教授/
COPDとは、Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字をとった病気の名前で、日本語では慢性閉塞性肺疾患といいます。
従来、肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれてきた病気をまとめてCOPDと呼びます。この病気の肺では、気管支に炎症がおきて、気管支が腫れてしまい、空気の通り道がせまくなります。また、気管支が枝分かれした奥にある肺胞がこわれて肺気腫という状態になると、酸素の取り込みができなくなり、症状がでてきます。
原因はなんでしょうか。
井上教授/
COPDの原因には、タバコの煙、大気汚染や遺伝的な因子もありますが、最大の原因は、長年の喫煙です。喫煙者の15〜20%がCOPDになってしまいます。最近話題となっている受動喫煙も重要な問題ですね。
どのような症状があるのでしょうか。
井上教授/
COPDに多い症状は、長引く咳や痰と、階段や坂道を登ったときや運動したときの息切れです。しかし、病気の初期は症状があまりないこともあります。咳や痰は、風邪が長引いているためであるとかタバコのためと考えてしまい、見過ごされてしまうことも多いようですし、また、息切れも加齢のため、トシだから、と病気の症状として疑わないことも多いようです。40歳以上のタバコを吸っている方で、咳や痰が続く方、運動するときに息切れがある方はCOPDの可能性がありますね。
日常生活に支障をきたし命を脅かす
この病気は進行するのでしょうか。
井上教授/
COPDは時間の経過と共に進行する病気で、肺の機能は徐々に低下します。健康な方でも、25歳を過ぎると年齢と共に肺の機能は低下してきます。COPDの患者さんは、健康な方と比較して非常に早く呼吸機能が低下してしまうため、次第に息切れが進み生活に支障をきたし、命を脅かす状態まで陥ります。禁煙すれば、COPDの進行を遅らせることができます。
どのような検査があるのでしょうか。
井上教授/
COPDは、病院などの行う胸のレントゲン検査では、進行して重症にならないと判りにくい病気です。そのため、呼吸機能検査が必要になります。よく、肺活量検査というものです。特に、息を大きく吸ったレベルから、力一杯勢いよく最後まで息を吐く、努力性の肺活量検査で、気管支の狭さをはかることから、詳しい診断をすすめていきます。
どのような治療法がありますか。
井上教授/
COPDの治療法は、その重症度や症状、運動能力などに応じて決まってきます。まずは、禁煙が基本です。治療の中心となるCOPDの治療薬は、最近大きく進歩しました。患者さんは、気管支が狭くなって息切れが起こっています。気管支を広げる効果が長く続くような吸入薬、気管支拡張薬で、症状を軽くし、死亡率を減らすことが出来るようになりました。
日常生活で気をつけることは何でしょうか。
井上教授/
COPDの患者さんは、どうしても息苦しくてひきこもりがちですので適度な運動が必要ですね。呼吸リハビリテーションと言われています。さらにCOPDの患者さんには、インフルエンザワクチンなどの接種で、感染症の予防をおすすめしています。
日常生活で特に気をつけことは、やはり、禁煙ですね。