インフルエンザとノロウイルスについて-国保でHOT情報2014年11月号-
国保でHOT情報では、これからの季節に流行するインフルエンザと、突然強烈な嘔吐が起きることが特徴のノロウイルスについて、治療法や予防法をたんぽぽこどもクリニックの山元公惠先生に伺い、11月19日にお伝えしました。
感染は咳などからの水滴
インフルエンザの特徴について教えてください
山元先生
インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染によっておこり、1~4日の潜伏期間のあと、38℃以上の高熱・頭痛・関節痛・筋肉痛などの症状が、のどの痛み・鼻水・咳といった風邪の症状と一緒に表れて、12月下旬から3月に流行します。
予防はどのようにするとよいでしょうか
山元先生
流行前にワクチン接種を行うこと、感染は咳などからの水滴による飛沫感染ですので、流行時の外出はマスクを着用し、外出先から帰ったらうがい・手洗いをすることです。 また、適当な湿度を保ち十分な休養と栄養をとること、人ごみを避けることも必要です。
予防接種は、いつ頃受ければよいでしょうか
山元先生
インフルエンザワクチンは、接種した2週後から5カ月程度効果があるとされています。インフルエンザワクチンは、接種すれば絶対にかからないという訳ではありませんが、ある程度の発病の阻止効果と重症化の阻止効果はあると言われています。 高齢者・乳幼児・受験生のいるご家庭などでは、家族全員が接種することが望ましいと思います。
インフルエンザの診断・治療はどういうものがありますか
山元先生
診断は、鼻からの拭い液を使い10分程度で検査できます。治療としては、抗ウイルス薬が、飲み薬・吸入薬・点滴と3種類あります。
インフルエンザと診断されたら、どういったことに気をつければよいでしょうか
山元先生
安静にして、水分の補給を行います。治療を開始しても、けいれん・変なことを言うなどの異常行動がある、ぐったりしている、ぜいぜいして呼吸が苦しそう、おしっこが半日以上でないなどの時は、医療機関に相談してください。
食品の十分な加熱と調理器具の十分な洗浄と消毒
また、冬にかけて流行するノロウイルスについても教えてください
インフルエンザの予防は外出時のマスク着用、そしてうがい手洗いをすることと話す山元公惠先生 |
山元先生
ノロウイルスとは非常に小さなウイルスですが、わずかな量で多くの人に感染する力があります。ウイルスのついた食べ物を口にしたり、吸い込んだり、人の手を介したりして、体に入り込み、症状を引き起こします。 潜伏期は、12時間から48時間くらいで、突然強烈な嘔吐が起きることが特徴で、吐き気・下痢・腹痛などの症状が見られ、1~2日続いた後、だんだん治まっていきます。
では、感染した時はどのように対処したらよいのでしょうか
山元先生
下痢や嘔吐が続くと、体の中の水分も一緒に外に出てしまうので脱水症状を起こしやすくなります。吐き気の様子を見ながら少しずつ、電解質を含む水分を回数を多く摂取することが大切です。
具体的な予防方法について教えてください
山元先生
ノロウイルスの感染には、食べ物による食中毒の場合と、食べ物以外から体の中に入る場合があります。 食中毒の場合は、ノロウイルスは85℃以上の温度で1分間以上しっかりと加熱すると感染力はなくなりますので、食品の十分な加熱と、使用した調理器具の十分な洗浄と消毒を行うことで感染を予防することができます。 食べ物以外から体の中に入り込む場合は、感染者の排泄物や嘔吐物が乾燥することでウイルスが部屋の中に広がりやすくなり、そのウイルスを吸い込んだり、ウイルスに触れた手を介して感染してしまいます。
汚物処理をするときに気をつけることはありますか。
山元先生
まず手袋をして汚物中のウイルスが飛び散らないようにペーパータオルをかぶせ、その上から次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤)をかけ、5~10分ほど放置します。外側から内側にかけて拭き取り、その後、水拭きをし、汚物はビニール袋に密封して捨ててください。処理を終えたら石鹸と流水で十分に手洗いし、部屋の換気も必要です。ノロウイルスの感染予防に最も重要なことは手洗いですので、日頃から心がけることが大切です。