「健康寿命」を延ばし「生活の質」を向上させる-国保でHOT情報2013年5月号
高齢者が要介護状態になる原因の第3位(関節疾患)と第4位(骨折・転倒)は運動機能に関連する疾患で、全体の26%を占めています。運動器の働きが衰え、要介護の危険性が高まるロコモティブシンドローム(運動器症候群)の発症・重症化の予防は、極めて重要な課題です。そこで国保でHOT情報では、ロコモティブシンドロームについて、鹿児島県保健福祉部健康増進課の井上須美子技術主査にお話を伺い、5月8日にお伝えしました。
新たな国民病「ロコモ」
「関節や筋肉などが衰えて、将来、寝たきりの危険性が高くなる「ロコモ」を予防していつまでも元気に過ごしたい」と話す井上技術主査と藏薗千尋リポーター |
「ロコモ」とはどういうものなのですか。
井上技術主査
「ロコモ」とは、「ロコモティブシンドローム」の略称です。骨や関節、筋肉、神経などの体を支えたり動かしたりする「運動器」が衰えて、「立つ」、「歩く」といった動作が困難になり、要介護や寝たきりになる危険性が高くなることを指します。
日本語で「運動器症候群」とも言います。
ロコモは、介護の原因なのですか。
井上技術主査
はい。鹿児島県の高齢者が要介護や寝たきりになった原因をみると、全体の4分の1が「関節疾患」や「骨折・転倒」といった、ロコモに関連するものです。全国平均に比べて高齢化が進行している鹿児島県で「健康寿命」を延ばし、高齢期の「生活の質」を向上させるために、ロコモ予防は大変重要です。
ロコモの人は、どのくらいいるのですか。
井上技術主査
ロコモとその予備群は全国で4,700万人と推計されています。これは、糖尿病の2,210万人やメタボの1,400万人を上回る数で、ロコモは「新たな国民病」とも言えると思います。
ロコモを予防していつまでも元気に過ごす
自分がロコモかどうかをチェックする方法はありますか。
井上技術主査
日本整形外科学会が作成した「ロコチェック」があります。1つでも当てはまればロコモの心配があります。
ロコモを予防する方法を教えていただけますか。
井上技術主査
自宅などで、簡単にできるトレーニングとしては「開眼片脚立ち」や「スクワット」があります。
その他にも、水泳やウォーキング、ラジオ体操やストレッチなど、色々な運動を積極的に行いましょう。
ロコチェック
中村 美華(なかむら みか) 県民健康プラザ健康増進センター 健康運動指導士・管理栄養士 |
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(日本整形外科学会)