自殺予防について正しい知識の普及を図る-国保でHOT情報2015年3月号-
平成25年の人口動態統計では、362人の方が鹿児島県で自殺により亡くなっており、また自殺死亡率は全国16位と全国平均より高い数値となっています。そこで、国保でHOT情報では心の健康・うつ予防について、鹿児島県保健福祉部障害福祉課の笹川純子精神保健福祉対策監にお話しを伺い、2月18日にお伝えしました。
鹿児島県の自殺者の傾向
まず、現在の鹿児島県の自殺者の状況を教えてください。
笹川対策監
最新の平成25年の人口動態統計によると、鹿児島県では362人の方が自殺によって亡くなられています。この数は交通事故による死亡者数の約3倍にあたります。
本県の自殺者数は、平成18年の507人をピークにこれまで減少傾向にありますが、依然として約360人の方が亡くなられている厳しい状況にあります。また、自殺死亡率は21.6で、全国16位となっています。全国平均が20.7ですので、全国平均よりやや高い数値となっています。
傾向は何かあるのでしょうか。
笹川対策監
本県の自殺者の傾向は、男性が女性に比べ多く、年代別では、50代から70代の中高年の方が多い傾向にあります。
自殺の原因を教えてください。
笹川対策監
自殺の原因は複雑で、その背景には心や体の健康問題、経済・生活問題、家庭問題のほか、人生観・価値観や地域・職場環境など様々な社会的要因が複雑に関係していることが明らかになってきました。なかでも、うつ病などの精神的な心の健康問題を抱える方が多く、うつ病対策の取組みが重要な課題となっています。
サインを見逃さないために知っておきたい10箇条
自殺に追い込まれた方には、何か特徴があるのでしょうか。
笹川対策監
厚生労働省では自殺のサインとして、自殺予防10箇条を示しています。サインの例としては、「表情が暗く元気がなくなる」、「体調不良の訴えが多くなる」、「お酒を飲む量が増える」などがあります。自殺を考えている人は何らかのサインを発していることが多いので、いつもと違うという周囲の気づきが大切です。 詳しくは、厚生労働省及び県のホームページに掲載してありますので、そちらをご覧いただければと思います。
県ではどのような対策を実施しているのでしょうか。
笹川対策監
県では、うつ病などの症状が見受けられる患者さんが、かかりつけの医師から精神科の医師につながるネットワークの構築や、心や身体の健康問題、経済・生活問題などで悩みを抱える方が利用できる相談窓口の設置などのほか、市町村、医療、福祉、警察などの関係機関と連携を図りながら、地域の実情に応じた様々な自殺対策やうつ病対策を実施しています。
自殺は身近な社会問題
ところで、3月は「自殺対策強化月間」とされていますが、始まったきっかけについて教えてください。
笹川対策監
平成22年2月に国の自殺総合対策会で決定した「いのちを守る自殺対策緊急プラン」のなかで、例年、自殺者数が多い傾向にある3月を「自殺対策強化月間」と定め全国でスタートしました。
「自殺対策強化月間」の目的は何ですか。
笹川対策監
自殺に追い込まれる方のなかには、「うつ病や多重債務などは不名誉で恥ずかしいもの」という意識からか、誰かに相談することや精神科の受診に心理的な抵抗を感じる人も少なくありません。そのため、「自殺対策強化月間」では、自殺を特別なことではなく、身近な社会問題として受け止められるよう、自殺予防についての正しい知識の普及を図ることを目的としています。
県では自殺対策強化月間にどのような取組みを行うのでしょうか。
笹川対策監
ノ県では、普及啓発活動のひとつとして、自殺予防対策の新聞記事の掲載やCMの放送などを予定しています。また、これらの普及啓発活動を通じて、今年の自殺対策強化月間啓発用ポスターにもありますとおり、『みんなが、誰かのゲートキーパー』という意識をもってもらえるように、より一層の普及啓発活動に取り組んでいきたいと思います。
どのような効果を期待しているのでしょうか。
笹川対策監
新聞記事やCMを県民の皆様が自殺予防について考えるひとつのきっかけにしていただき、自殺予防についての正しい知識の普及や自殺のサインへの気づきを促すことで、自殺者の減少の効果を期待しています。