薬剤師に聞く健康のいろは ~健康食品編~ -教えて健康法-
「健康食品の正しい利用について」
わが国では「人生100年時代」と言われるようになり、個人の健康への意識が高くなるとともに健康食品やサプリメントへの関心も年々高まりを見せています。厚生労働省による令和元年国民健康・栄養調査報告において、「サプリメントのような健康食品を食べたり飲んだりしていますか」との質問に対して20歳以上の34・4%が「はい」と答えており、年齢が高くなるほどその割合が高くなっています。
テレビCMなどの広告を目にすることも多く、関心の高まりを見せている健康食品やサプリメントですが、実は法律上の定義はありません。明確な定義がないため、その認識は個人によって様々に異なっているのが実状です。健康食品やサプリメント(以下、健康食品に表記をまとめます)を正しく利用できるように、健康食品に関する情報を簡単ではありますがお伝えしたいと思います。
保健機能食品
健康食品は、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たし、「おなかの調子を整えます」などのような機能性等を表示することができる保健機能食品と、それ以外の食品に大きく分類することができます。さらに、保健機能食品は特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の3種類に分類されます(図1)。
特定保健用食品は、健康の維持増進に役立つ効果や安全性について国が審査を行い、食品の保健機能に関する表示が許可されている食品で「トクホ」とも呼ばれています。許可された食品には許可マークが表示されています。
栄養機能食品は、人での効果の科学的根拠が認められている栄養成分(ビタミンやミネラルなど)を一定の基準量含み、栄養成分の機能が表示されている食品です。基準を満たしていれば特に届出などをしなくても国が定めた表現で機能性を表示することができます。
機能性表示食品は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた安全性や機能性などの情報を販売前に国に届け出ることにより、機能性を表示することができる食品です。
これらの制度による表示は健康食品を選ぶ参考になります(図2)。
健康食品の利用と薬局の活用
健康の維持増進の基本は「栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養」です。健康食品はあくまでその質を高めるための補助的なものであるため、まずは日々の食事全体のバランスを考えた上で健康食品の必要性を十分に考えることが重要です。
また、健康食品の中には医薬品との間で飲み合わせに注意が必要なものもあるため、持病などの治療ですでに医薬品を使用している場合には先に医師や薬剤師などの専門家に相談する必要があります。
健康食品をうまく活用できれば健康の維持増進に役立つ可能性があります。健康食品に関して分からないことや気になることがありましたら薬局で相談してみてください。薬局は処方箋を応需するだけでなく、市販薬や健康食品などを取り扱う施設でもあります。処方箋がなくても利用することができます。
近年、国が定める一定の基準を満たし、医薬品に関してだけでなく介護や健康に関することまで気軽に相談できる薬局を健康サポート薬局として表示できる制度ができました。ウェブ上で検索することができますので、かかりつけ薬局をまだお持ちでない場合には薬局選びの参考にしてみてください。
プロフィール
公益社団法人鹿児島県薬剤師会 薬事情報センター 所長
氏名 井上 彰夫
略歴
平成18年3月 広島大学医学部総合薬学科 卒業
平成18年4月 株式会社PMC企画ひまわり薬局 勤務
平成20年9月 有限会社ケーアイ調剤薬局 勤務
令和2年2月 公益社団法人鹿児島県薬剤師会薬事情報センター 所長
所属学会等
日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本医療薬学会、日本腎臓病薬物療法学会、 日本社会薬学会、日本医薬品安全性学会