健康づくりのための運動(ストレッチ運動)-第3回教えて健康法-
柔軟性の低下が痛みの一要因
前回の筋力トレーニングに引き続き、今回はストレッチ運動(柔軟運動)について、運動方法等をお話していきたいと思います。
近年、筋力トレーニングに関しては老若男女、年齢に関係なく必要性が注目され、多くの方々がさまざまな種類のトレーニング法を実践しています。それに伴い、よい効果を獲得されている一方で、障害や身体状況が悪化する方も少なくありません。それは、身体の柔軟性や各関節の可動性が、十分でないのに無理に動かしたり、運動終了後の運動(クーリングダウン)が行われないことが、痛みや障害につながっている要因のひとつです。
柔軟性はある方ですか?と質問すると、多くの方が〝硬いです〟〝小さいときから硬かったです〟という返事が多いように思います。そのような方に腰痛や肩こり、膝痛などの痛みを訴える方も多く、柔軟性の低下が、さまざまな痛みの一要因になっていると考えられます。体を鍛えることは必要ですが、労わってあげることも大切です。
そのためにも普段から柔軟性向上の取り組みをし、運動後には、使った筋肉群を中心にストレッチ運動を行い、縮まった筋肉を元の状態に戻してあげることが必要になります。また、体のひずみ・筋肉のバランスを整え、無理な負荷がかからないような身体づくりが必要とされます。
縮まった筋肉を元の状態に戻す
そこで、今回は大きな筋肉を中心とした静的ストレッチ種目を紹介いたします。
ストレッチとは、「伸ばす」という意味ですが、運動の際には、「筋肉を伸ばす」という意味で使われています。
以下の点に留意して、実施しましょう。
1.筋肉をリラックスさせる
ターゲットとなる(伸ばしたい筋肉)に意識を向け、その部分の力を抜く
2.弾み(反動)をつけずに緩やかに伸ばす
伸展(伸張)反射(注1)を起こさないようにゆっくりと動作(曲げ伸ばし)をする
3.強い痛みを感じない、最大に伸ばした状態の姿勢を保つ
心地よく伸びている位置で15~60秒程度保持する。より柔軟性を獲得したい場合は、発展的伸展(注2)を利用する
4.ストレッチ中は呼吸を止めない
リラックスするためにも息をこらえないようにし、筋肉を伸ばす最初に息を吐き、ストレッチ中は、自然に呼吸を繰り返す
5.ポジション
他の関節などに負荷がかからないように正しい姿勢で行い、不必要な動き(ストレッチ感を逃がすような動き)にならないようにする
6.他人と柔軟性を競い合わない
柔軟性は個人差が大きいため無理をしない
注1…筋肉は急激に伸ばされると縮もうとする反射動作
注2…ある程度の時間その動作を保持していると筋肉がストレッチされ少し楽になるので、さらに負荷(ストレッチ)をかけていくこと
気分爽快・疲労回復にも効果的
ストレッチの効果
1.血行を促して新陳代謝を盛んにし、筋肉などを柔軟にする。また、それに伴い肩こりや腰痛などを軽減することができる。
2.筋肉や腱、関節まで、体のすみずみまで伸ばすことができ、気分も爽快にしリラックスでき、疲労回復のためにも効果的。
3.運動をする前後に行うと障害の予防になり、日常生活においても障害を起こしにくい体になる。(ストレッチしていない筋肉よりも抵抗力が大きくなる。)
4.協応性の向上に役立ち、以前よりも動作が自由に、しかも楽にできるようになり、動きの可動域も大きくなる。
〇左右で筋肉のアンバランスがある場合、特に硬さが強い側は、反対側(柔らかい側)より時間をかけたり、頻度を多くしてバランスをとるようにしましょう。
〇無理のない範囲から始め、徐々に可動域を広げていきましょう。
〇痛みが出たり、痛みが増した場合は一時中断し、専門家に相談しましょう。
柳田 豊(やなぎた ゆたか) プロフィール
【職歴】
昭和64年 | 鹿屋体育大学 体育・スポーツ課程卒業 |
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同年(平成元年) | (株)ニチガスクリエート入社 アーバンウェルネスクラブ エルグ |
平成21年1月 | リセット・プラス設立 コンディショニングトレーナーとして活動 |
【資格】
- 健康運動指導士 (健康・体力づくり事業財団認定)
- ヘルスケアトレーナー(中央労働災害防止協会認定)
- ホリスティックコンディショナー(JHCA 認定)
- ストレッチポールアドバンストトレーナー(JCCA 認定)
- キネシオテーピング療術家(キネシオテーピング協会認定)
- 肥満予防健康管理士(日本肥満予防健康協会認定)
- 貯筋運動指導者(健康・体力づくり事業財団認定)
- その他(G ボール、スタビライゼーションベーシック)
【実績】
鹿児島県健康づくり運動指導者協議会 会長