正しいフォームでのウォーキング-第7回教えて健康法(運動編)-
正しい姿勢でウォーキング
スポーツ庁の調査によると、週1回以上の運動を行っている人の割合は、51・5%(平成29年度スポーツの実施状況等に関する世論調査)。国民の約半数が定期的に運動を行っていることになります。
統計開始以降、5割を超えたのは、初めてであり、健康意識の高まりを再確認できるデータですね。
スポーツ庁は、成人のスポーツ実施率を週1日以上が 65%程度,週3日以上が30%程度となることを目標にしています。
私たちが、いつでも、どこでも、気軽にできる運動は「ウォーキング」。
しかしながら、指導の現場では、「ウォーキングをしていたら、膝が痛くなった。」という相談をしばしば受けます。
健康のために始めたウォーキングで膝を痛めてしまう・・・どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
運動量が多すぎたのか、筋力が不足していたのか、様々な原因がある中で、最も多いのは、アライメントの異常、つまり、歩く「姿勢」が崩れてしまっていることです。
足関節→膝関節→股関節と複数の関節に荷重がかかる過程で、そのバランスが崩れると、O脚やX脚の原因となります。
そのような状態でウォーキングを行うと、正常な重心移動が行えず、関節のアライメント異常や、痛みに繋がってしまうのです。(図-1参照)
正しいフォームでは、踵の真ん中で接地すると、足の裏の外側を通り、拇指球に重心が移動しますが、X脚やO脚の状態だと、踵の真ん中で接地することができず、正しい軌道に重心が移動しないため、ウォーキングをすることで膝や腰が痛くなるという負のスパイラルを招いてしまいます。
また、つま先→膝→股関節のラインを一直線に保つことができないため、関節の変形や膝の痛みに直結してしまいます。
特にO脚では、踏込に重要な拇指球に荷重できず、床面に効率的に力を伝えることができなくなります。
ご自分の状態を知りたいときは、シューズの踵が片減り(内側・外側)していないか、左右差が無いか等、セルフチェックを行ってみることを、お勧めします。
バランス改善のための補強運動
このように、立ち方・歩き方の「癖」が、姿勢のアンバランスを招いているようです。
荷重のかけ方や、重心の移動に関する「癖」により、筋肉量や反応速度にも左右差が生じてしまうと、それを修正することは、非常に難しくなります。
まずは、ご自身がアンバランスに気づくことが重要で、それらを改善・予防する補強運動を継続して行うことが、アライメント異常や痛みを改善する近道です。
今回紹介する補強運動は、「フォワードランジ」というエクササイズ。(図-2参照)
まっすぐに立った状態から、バランスを崩さないように注意して(不安なときは、椅子などを準備して支えにしてください)、足を前方へ踏み出します。
踏み出した足が90度程度になるまで、腰を下ろします。
腰を落とす際に左右にふらつきやすいので、しっかりとバランスを取る事を意識して、十分に腰を落とす事ができたら、踏み出した足を引き、元の真っ直ぐに立った状態に戻ります。
下半身の筋肉全体に効果があり、バランスを保つことで、神経―筋の協調性の向上が期待できます。
動作の際、つま先→膝→股関節が一直線になるように注意し、左右差がある方は、難しい側の強度(深さ)を落とし、正しいフォームで行えるまで左右差がなくなってから、強度を上げていくようにしましょう。
桑原祐一(くわはら ゆういち) プロフィール
健康運動指導士/ヘルスケア・トレーナー
【学歴】
鹿児島県立川内高等学校 卒業
鹿児島大学教育学部 保健体育科 卒業
同大 大学院教育学研究科 修了
【現職】
株式会社ニチガスクリエート
アーバン・ウェルネス・クラブ エルグ 副支配人