よくある質問

第5回 「糖尿病予防のための運動」-教えて健康法 運動による疾病予防編-

糖尿病の分類

糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が多くなる病気で、血液中のブドウ糖の割合は血糖値と呼ばれます。空腹時の血糖値が126㎎/dl以上、または食事に関係なく血糖値が200㎎/dl以上となると糖尿病の基準に該当します。また、HbA1c値は過去1~2か月間の平均血糖値を反映しているとされ、HbA1c値が6.5%以上で糖尿病の診断基準に該当します。 一般的に知られている糖尿病には、「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があり、日本では95%以上の糖尿病患者が2型糖尿病とされています。2型糖尿病は、いくつかの遺伝因子と過食(食べすぎ)、運動不足、ストレスなどの生活習慣が加わり、インスリンの働きが悪くなり、糖尿病を発症します。インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンで、ブドウ糖を体内に取り込んで蓄え、エネルギー源として使うことができる状態にしてくれます。インスリンの働きによって、血糖値は一定の範囲内におさまっています。 糖尿病の初期には喉の渇き、頻尿、手足の感覚低下などがあらわれることがありますが、初期段階では自覚症状がまったくないことが多いとされています。重症化すると、3大合併症として神経障害、網膜症、腎症を発症することが知られています。また、動脈硬化による脳卒中や心臓病の危険が高まる他、認知症の危険も高くなります。

運動の効果

運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進され、インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。また、長期的には、インスリン抵抗性(いわゆるインスリンの効き具合)を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。運動療法・食事療法・薬物療法は糖尿病の予防・改善のための3本柱とされます。

糖尿病予防のための運動

糖尿病の予防・改善のための運動の目標には、次の点が挙げられます。

1)運動は週に3~5回(できれば毎日)

2)中等度(ややきつい)の全身を使った有酸素運動

3)有酸素運動は1回20分以上、週3日以上(運動しない日が2日間以上続かない)、週150分以上

4)レジスタンス運動(筋力トレーニングなどの抵抗運動)は週2~3回

5)バランス運動を取り入れる

運動療法の目標として、運動の頻度はできれば毎日、少なくとも週に3~5回、運動強度は中等度(ややきつい)の全身を使った有酸素運動、運動時間は各20~60分間行い、計150分以上が一般的に勧められています。運動の強度は「ややきつい」と感じるレベルが目安とされます。また、週に2~3回のレジスタンス運動を同時に行うことが勧められています。生活機能の維持・向上のためにバランス能力を保持することも推奨されます(図1、表1)。

運動実施における注意点

・治療中の場合は、主治医と相談のうえで実施してください。

・血糖コントロールが不安定なときは、運動強度と運動時間は控えめにします。

・運動は、食後1時間頃が望ましいとされますが、特に制限がない場合は、自身の生活のなかで実施可能な時間帯で行ってください。

・歩数や運動時間の目標を立てることをお勧めします。

・冷や汗、動悸、手足の震え、頭痛などの低血糖症状に注意して、無理のない範囲で行います。

 

 

プロフィール

氏名 牧迫 飛雄馬

現職

 ・鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻 教授

 ・国立長寿医療研究センター予防老年学研究部 客員研究員

 ・放送大学 客員教授

学歴

平成13年 国際医療福祉大学保健学部理学療法学科卒業(理学療法士)

平成15年 国際医療福祉大学大学院博士前期課程修了(修士(保健学))

平成21年 早稲田大学大学院博士後期課程修了(博士(スポーツ科学))

専門領域

健康・スポーツ科学、介護予防、地域リハビリテーション、老年学

専門理学療法士(生活環境支援理学療法・基礎理学療法)、認定理学療法士(介護予防)

 

2022-01-27
カテゴリー: 教えて健康法 

カテゴリ:教えて健康法

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