よくある質問

第6回 「フレイル予防のための運動」-教えて健康法 運動による疾病予防編-

フレイルとは

「フレイル」とは、英語の“Frailty”をかな表記したもので、“虚弱”や“老衰”などと言われてきた状態を意味します。フレイルは、足腰が弱くなって筋力が衰えて転びやすくなるといった身体的問題だけではなく、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む多面性を有する概念であるとされています(図1)。 とくに、身体的な衰えを有する身体的フレイルに該当すると、近い将来に介護が必要になるリスクが高まります。つまり、フレイルは生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、健常と要介護の中間にも位置づけられます。しかし、フレイルは悪化する一方ではなく、しかるべき対応で改善が期待できます。可逆性を有することが特徴のひとつです。そのため、フレイルの早期発見、早期対処が非常に重要となります。

フレイルの予防と運動

フレイルの予防・改善のためには、積極的な運動が推奨されます。運動の内容としては、 多面的な運動が有効であるとされています。多面的な運動とは、有酸素運動、筋力トレーニング、バランス運動、柔軟運動を組み合わせた運動です。  ここでは、自宅でできる5つの運動を紹介します。これらの運動の開始前後にストレッチ運動を取り入れることが望ましいです(図2)。5つの運動は筋力トレーニングとバランス運動を含むものとなります(図3)。また、1日20分程度のウォーキングによる有酸素運動を取り入れることが推奨されます。

運動以外でのフレイル予防

前述のとおりに、フレイルは身体的な問題だけでなく、精神・心理的問題や社会的問題も含みます。最近では、オーラルフレイルと言われる、噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能の衰えも問題として取り上げられます。身体の健康を保持するためには、栄養状態を良好に保つ必要があり、そのためには良好な口腔機能も重要となります。 一般的な加齢に伴う生活機能や心身機能の変化をとらえるうえで、社会とのつながりといった側面は、より高次に位置づけられるかもしれません。高次な活動と考えられる社会性の低下から始まる負の連鎖はフレイル・ドミノと表現されることもあります(図4)。社会とのつながりが失われ、他者との交流や社会活動への参加が減少することが身体的および認知・心理・精神的なフレイルの入り口と捉えることもできます。フレイル予防のためには、社会とのつながりを積極的に保持することも重要と考えられます。

 

 

プロフィール

氏名 牧迫 飛雄馬

現職

 ・鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻 教授

 ・国立長寿医療研究センター予防老年学研究部 客員研究員

 ・放送大学 客員教授

学歴

平成13年 国際医療福祉大学保健学部理学療法学科卒業(理学療法士)

平成15年 国際医療福祉大学大学院博士前期課程修了(修士(保健学))

平成21年 早稲田大学大学院博士後期課程修了(博士(スポーツ科学))

専門領域

健康・スポーツ科学、介護予防、地域リハビリテーション、老年学

専門理学療法士(生活環境支援理学療法・基礎理学療法)、認定理学療法士(介護予防)

 

2022-03-29
カテゴリー: 教えて健康法 

カテゴリ:教えて健康法

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